歯磨きを1日3回以上する人は糖尿病などの有病率が低い。

論文紹介

糖尿病と歯周病については、すでに様々な報告がされております
 歯周病があると、糖尿病発症リスクは2.08倍になる 文献2
 重度歯周病の糖尿病患者は虚血性心疾患による死亡率が3.2倍に上昇する 文献3
 2型糖尿病では歯周病治療によりHbA1c0.65%、空腹時血糖値が9.04mg/dl改善する 文献4

今回の論文(文献1)では、より身近な歯磨きの回数と糖尿病などの心血管リスク疾患との関連を調べています。



■ 試験デザイン

This large-scale, single-centre, epidemiological study of cross-sectional design retrospectively analysed the medical records of 90 143 individuals who had undergone an annual medical checkup at St Luke’s International Hospital Center for Preventive Medicine, Tokyo, Japan, between January 2004 and June 2010.

TPECOに分けると下記のようになります
T  横断研究
P  聖路加病院で毎年健康診断を受けている90,143名のうち30歳以上85歳未満の85,866名
E&C 歯磨き回数:1日3回以上(38,643) vs 1日1回以上(46,981) vs 1日1回未満(242名)
O  高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、腎不全の有病率

試験デザインからは因果関係ではなく関連性を調べています。
介入ができる条件ではないものの、健康意識が交絡してしまうのは避けられないですね。

また聖路加病院で健康診断を毎年受けているなら、所得階層は高そうな印象があります。
それでも1日1回未満が242名いますけど。



■ 結果

The prevalences of the risk factors were as follows: HT (‘after every meal’: 13.3%, ‘at least once a day’: 17.9% and ‘less than once a day’: 31.0%), DM (3.1%, 5.3% and 17.4%, respectively), DL (29.0%, 42.1% and 60.3%, respectively), HUA (8.6%, 17.5% and 27.2%, respectively) and CKD (3.8%, 3.1% and 8.3%, respectively). The prevalences were significantly higher in the ‘less than once a day’ group than in the ‘after every meal’ group for DM (OR=2.03; 95% CI 1.29 to 3.21) and DL (OR=1.50; 95% CI 1.06 to 2.14), but not for HT, HUA and CKD.

有病率には結構差が出ていますね。
ただ、生活習慣などによる調節をしていますが、真の交絡因子はやはり健康意識だと思います。なので調節後ではなく調節前のパーセントのほうが参考になるのではないでしょうか。

またこの研究は横断研究ですので、この研究から歯磨きが糖尿病を減らすという結論にはなりませんが、歯磨きの介入研究は現実的でないですし、歯磨きをすることがそこまで負担があるわけではないので、効果を期待して歯磨きを毎食後にすることは悪い選択ではないと思います。



■ 参照文献
文献1 Kuwabara M et al., BMJ Open. 2016 Jan 14;6(1):e009870. PMID: 26769787
文献2 Demmer RT et al., Diabetes Care. 2008 Jul;31(7):1373-9. PMID: 18390797
文献3 Saremi A et al., Diabetes Care. 2005 Jan;28(1):27-32. PMID: 15616229
文献4 Sgolastra F et al., J Periodontol. 2013 Jul;84(7):958-73. PMID: 23106512