EMPA-REG OUTCOMEの患者背景について

論文紹介

2型糖尿病におけるエンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)と心血管イベントで総死亡率を32%減らすと結果がでたEMPA-REG OUTCOMEのsupplementary appendixをみて患者背景などについて調べてみました。


    Supplementary Appendixの以下の項目を参考にしています。
     Section C: 心血管イベント高リスクの定義
     Section D: 試験からの除外対象
     Section I: 患者背景



■ Section C: 心血管イベント高リスクの定義 より要約

・心筋梗塞の既往があり、2ヶ月以上経過している
・多発冠動脈狭窄(CAG狭窄50%以上)
・単発冠動脈狭窄(CAG狭窄50%以上)
・2ヶ月以上の不安定狭心症症状で冠動脈狭窄あり
・脳卒中(脳梗塞+脳出血)があり、2ヶ月以上経過している
・末梢動脈疾患で切断、ステント、バイパス術施行例
・50%以上の狭窄がある末梢動脈疾患
・ABI<0.9



■ Section D: 試験からの除外対象 より要約

・空腹時血糖値が240より大きい
・AST, ALT, ALPg上限の3倍以上
・3ヶ月以内に心臓手術や血管形成術が予定されている
・eGFR<30 ・減量手術や吸収不良をきたす胃腸手術を2年以内にしている ・血液疾患 ・5年以内の癌既往あるいは癌の治療 ・local labelによる禁忌がある ・3ヶ月以内に減量薬を使用あるいは、不安定な体重の変動を起こす薬を使用 ・全身性ステロイド投与、あるいは6週間以内に甲状腺ホルモン量の変更がある ・2型糖尿病以外のコントロール不良な内分泌疾患がある ・閉経前の女性=最終月経が1年以内 ・試験継続に影響がでるアルコール依存や薬物中毒 ・30日以内に他の治験をしている ・2ヶ月以内に心筋梗塞、脳卒中、狭心症 ・南アフリカでは血圧160/100以上 ・その他患者に危険と思われる状態



■ Section I: 患者背景 より要約

・年齢 63+-8.6歳、アジア人は21%程度
・利尿剤の使用は各群42%程度
・ACEi/ARBは80%、β遮断は60%、抗血小板薬89%、スタチン77%程度の使用率


今まで、EMPA-REG OUTCOMEの結果をみてから、心血管リスクが高くコントロール不十分な症例には、注意しながら使用していたのですが、脱水から脳梗塞を注意するようにしていたため、脳梗塞の既往などがあると使用を避けていました。

この試験の記載では脳梗塞の既往は、心血管高リスク群として記載されてますね。
脳卒中既往の糖尿病患者に絞った研究でも、サブ解析をしたわけでもないので、はっきりとした参考にはなりませんが、脳梗塞あればエンパグリフロジンを絶対避けるという必要はなさそうですね。

また、心筋梗塞後で処方を検討する場合はどれくらいの期間を空けるべきかの参考になりますね。ひとまず上記に従い、使用する場合は2ヶ月以上は空けるようにします。

年齢も63.2 ± 8と結構高く、利尿剤の使用率も各群42%程度であり利尿剤内服患者は併用禁忌というわけではなさそうです。
Supplementary Appendixに目を通したことで、より適切な対象が選べそうですね。



■ 参照文献
Zinman B et al.,N Engl J Med. 2015 Nov 26;373(22):2117-28. Supplementary Appendix