アキレス腱エコーは家族性高コレステロール血症の診断に有用かも。

論文紹介

脂質異常症のなかには、心血管イベントの発症率が10倍以上となる、家族性高コレステロール血症という病気が混在しています。

この家族性高コレステロール血症の診断基準の項目にアキレス腱肥厚があり、軟線撮影で9mm以上という項目がありますが、当院にはレントゲンがないためエコーで代用できないかと調べてみました。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T 症例対照研究?
P 
・familial hypercholesterolemia (FH)
・familial combined hyperlipidemia
・polygenic hypercholesterolemia
・normolipidemic controls

E&C アキレス腱エコー(踵骨から2cm近位で測定)
アキレス腱の厚さ
アキレス腱エコー構造: *論文本文中の画像を参考にしてください
・正常=腱構造維持
・腱構造破綻 or 低エコー領域の存在

O FHか否か



■ 結果

Abnormal echostructure (sonographic xanthoma) was noted only in FH. AT thickness was higher (P<0.001) in FH men and women compared with all of the other groups

Thickness thresholds for the diagnosis of FH with specificity >80%, as were derived from receiver operating curves, were 5.3 and 5.7 mm in men < and >45 years, and 4.8 and 4.9 mm in women < and >50 years, respectively.

Using thresholds in validation sets of 70 genetically identified FH and 54 dyslipidemic non-FH correctly classified 80% and 88%, respectively.

年齢と性別で決められたカットオフ値を利用することで、アキレス腱エコーは特異度90%以上の検査となり、脂質異常症(高コレステロール血症)を80%以上の確率で、FH群と非FH群に区別することができるようです。これだけの精度があれば、外来での診療に役立ちそうですが、エコーによる診断は日本の診断基準とは異なりますので、難病指定等に使えるかは不明です。

保険や難病指定など日本の診断基準を満たす必要がないのであれば、エコーでアキレス腱肥厚の程度をみてLDL値の目標を決めるのもよいのではないでしょうか?


2017/06/07追記 
上記のカットオフにすると、結構引っかかるので現時点では、カットオフ値に懐疑的です。とはいえ、エコーなら診察室でチェックできるので、上記のカットオフと日本の診断基準9mmを念頭におきながら診ていきたいと思います。



■ 参照文献
Junyent M et al., Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2005 Oct;25(10):2203-8. PMID: 16123315
日本動脈硬化学会, 家族性高コレステロール血症について 2017/04/19閲覧