糖尿病患者に対するβ遮断薬は心血管イベントリスクを増やすかもしれない。

論文紹介

β遮断薬は、心筋梗塞二次予防及び心不全では欠かせない治療薬です。
糖尿病患者では心血管の既往があるため、β遮断薬が使用されていることが多いのですが、先日この論文を見つけたので読んでみました。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T ACCOR試験のサブ解析、傾向スコア調整
P ACCOR試験に参加した糖尿病患者
E&C β遮断薬使用の有無
O 心血管イベントの初回発症
心血管イベント=非致死性心筋梗塞、不安定狭心症、非致死的脳卒中、心臓血管死



■ 結果

The cardiovascular event rate was significantly higher in patients on β-blockers than in those not on β-blockers (hazard ratio, 1.46; 95% confidence interval, 1.24-1.72; P<0.001). In patients with coronary heart disease or heart failure, the cumulative event rate for cardiovascular events was also significantly higher in those on β-blockers than in those not on β-blockers (hazard ratio, 1.27; 95% confidence interval, 1.02-1.60; P=0.03). The incidence of severe hypoglycemia was significantly higher in patients on β-blockers than in those not on β-blockers (hazard ratio, 1.30; 95% confidence interval, 1.03-1.64; P=0.02).

患者背景によると下記のようになっておりました。

β遮断薬使用 有り vs なしで
心血管イベントの既往は 33.0% vs 34.6%
心不全の既往は6.3% vs 6.4%

糖尿病全体でのβ遮断薬使用群の方が、HR1.46と心血管イベントが多く
また、冠動脈心疾患や心不全をもつ患者のみに対象を絞っても、HR1.27と高くなっております。

心筋梗塞ガイドラインでは、β遮断薬の使用はエビデンスレベルA~Bとなっております。心筋梗塞二次予防に対するβ遮断薬の効果についてはたくさんの論文が有りますし、この報告はあくまでサブ解析ですから、これだけで判断することはありません。

β遮断薬の継続については今後の報告を診ながら判断していくより仕方なさそうです。



■ 参照文献
Tsujimoto T et al., Hypertension. 2017 May 30.
PMID: 28559400