2型糖尿病ではSGLT2阻害薬使用者のほうがAKIになりにくいかも。

論文紹介

以前紹介した論文によるとWanner Cらの報告によると、エンパグリフロジンのデータからSGLT2阻害薬は腎症の進行を遅らせる可能性があります。(文献2)
しかし、短期的にはeGFRを低下させており、急性腎不全のリスクについてはいつも注意しながら処方をしておりました。
今回SGLT2阻害薬と急性腎不全についての論文があったので読んでみました。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T ヘルスケア利用コホート研究 傾向マッチング
P 2型糖尿病患者
E&C SGLT2阻害薬 あり vs なし
O KDIGOの定義に従ったAKI



■ 結果

We identified 377 SGLT2 inhibitor users and 377 nonusers in the Mount Sinai cohort, of whom 3.8 and 9.7%, respectively, had an AKIKDIGO event over a median follow-up time of 14 months. The unadjusted hazards of AKIKDIGO were 60% lower in users (HR 0.4 [95% CI 0.2-0.7]; P = 0.01), which was unchanged (aHR 0.4 [95% CI 0.2-0.7]; P = 0.004) postadjustment. Similarly, we identified 1,207 SGLT2 inhibitor users and 1,207 nonusers in the Geisinger cohort, of whom 2.2 and 4.6% had an AKIKDIGO event. AKIKDIGO unadjusted hazards were lower in users (HR 0.5 [95% CI 0.3-0.8]; P < 0.01) with modest attenuation postadjustment for covariates (aHR 0.6 [95% CI 0.4-1.1]; P = 0.09).

SGLT2阻害薬の名称と今回の研究で重要だと思う腎機能状態についての記載がabstractには見当たりませんでした。
この報告によると、むしろSGLT2阻害薬を使用している群のほうがAKIになりにくいようです。以前のeGFR低下の報告や利尿作用があり脱水傾向になりやすいことと乖離があることを考えると、引き続き注意をしながら、今後の報告を待ちたいと思います。



■ 参照文献
文献1 Nadkarni GN et al., Diabetes Care. 2017 Aug 21. PMID: 28827404

文献2Wanner C et al, N Engl J Med. 2016 Jul 28;375(4):323-34. PMID: 27299675

関連リンク エンパグリフロジン(商品名ジャディアンス)は腎症の進行を遅らせる。

名古屋糖尿病内科クリニック
糖尿病専門医 平井博之