妊娠糖尿病に対するメトホルミン治療の周産期合併症はインスリンと同等かも。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T RCT
P 妊娠20~33週の妊娠糖尿病患者751名
E&C メトホルミン vs インスリン
O
複合エンドポイント
=新生児の低血糖、呼吸困難、光療法の必要性、出生時の外傷、5分のアプガースコア7点未満、未熟児

■ 結果

The rate of the primary composite outcome was 32.0% in the group assigned to metformin and 32.2% in the insulin group (relative risk, 0.99 [corrected]; 95% confidence interval, 0.80 [corrected] to 1.23 [corrected]). More women in the metformin group than in the insulin group stated that they would choose to receive their assigned treatment again (76.6% vs. 27.2%, P<0.001). The rates of other secondary outcomes did not differ significantly between the groups. There were no serious adverse events associated with the use of metformin.

添付文書上、妊婦又は妊娠している可能性のある婦人は禁忌となっております。

妊娠中の糖代謝は胎盤の影響によるインスリン抵抗性の増悪が関係します。
そのため、病態生理としてはインスリン抵抗性を改善するほうがよさそうではあるのですが、
メトホルミンの胎児への安全性を考慮して、添付文書上では禁忌となっているようです。

この論文では妊娠糖尿病が対象でありますが、胎児への影響はインスリンと同等という結果でした。

当院は添付文書に従った処方をしていきます。
当院としては添付文書に従い、メトホルミンの使用を行っていきます
(2018/07/26訂正 メトホルミンは添付文書に従っ使用していくという意図でしたが、誤解を招く表現ですので訂正しました。)

■ 参照文献
Rowan JA et al., N Engl J Med. 2008 May 8;358(19):2003-15.
PMID: 18463376

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之