eGFR>30ならメトホルミンはアシドーシスによる入院と関連しないかも

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T: 試験デザイン
コホート研究
P: 患者背景
糖尿病患者 74,413人
E: 介入
新規メトホルミン
C:比較
新規SU薬
O: アウトカム
アシドーシスによる入院




■ 結果

Compared with alternative diabetes management, time-dependent metformin use was not associated with incident acidosis overall (adjusted hazard ratio [HR], 0.98; 95% CI, 0.89-1.08) or in patients with eGFR 45 to 59 mL/min/1.73 m2 (adjusted HR, 1.16; 95% CI, 0.95-1.41) and eGFR 30 to 44 mL/min/1.73 m2 (adjusted HR, 1.09; 95% CI, 0.83-1.44). On the other hand, metformin use was associated with an increased risk of acidosis at eGFR less than 30 mL/min/1.73 m2 (adjusted HR, 2.07; 95% CI, 1.33-3.22).

現時点では2型糖尿病患者さんへの第一選択薬はメトホルミンなのですが、メトホルミンが分類されるビグアナイド系薬剤は乳酸アシドーシスとの関連を指摘されており長い間日本では使用されにくい状況だったようです。

その後、メトホルミンの有用性が見直されて徐々に使用されるようになってはきているのですが、腎障害があると乳酸値が蓄積するため腎機能によっては使用を控えたり中止したりしておりました。

以前の報告でもeGFRとの比較を検討されております。
当院記事「腎不全患者に対するメトホルミンと乳酸アシドーシスについて

今回の報告ではeGFR<30はアシドーシスによる入院と関連ありそう。eGFR>30なら関連はなさそうという報告でした。eGFR<30ではアシドーシス増加するという内容については文献3の報告と合致しておりますが、eGFR30~60については異なる結果となっております。 今回の論文だけでは判断を決めることは難しいかもしれないですね。

■ 参照文献
文献1 
Lazarus B et al., JAMA Intern Med. 2018 Jun 4. 
PMID: 29868840

文献2
Inzucchi SE et al., JAMA. 2014 Dec 24-31;312(24):2668-75.
PMID: 25536258

文献3
Richy FF et al., Diabetes Care. 2014 Aug;37(8):2291-5.
PMID: 24879835


名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之