1型糖尿病に対するダパグリフロジンはHbA1cを改善するが、DKAを増やす

1型糖尿病にSGLT2阻害薬であるダパグリフロジン(フォシーガ)を使用した臨床試験です。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T: 試験デザイン double-blinded, RCT, 24W
P: 患者背景 1型糖尿病
E&C:
ダパグリフロジン5mg + インスリン
vs
ダパグリフロジン10mg + インスリン
vs
インスリン

O: アウトカム アブストラクトには記載なし

■ 結果

At week 24, dapagliflozin significantly decreased HbA1c (primary outcome; difference vs. placebo: dapagliflozin 5 mg -0.37% [95% CI -0.49, -0.26], dapagliflozin 10 mg -0.42% [-0.53, -0.30]), total daily insulin dose (-10.78% [-13.73, -7.72] and -11.08% [-14.04, -8.02], respectively), and body weight (-3.21% [-3.96, -2.45] and -3.74% [-4.49, -2.99], respectively) (P < 0.0001 for all).

Adverse events were reported for 72.7%, 67.0%, and 63.2% of patients receiving dapagliflozin 5 mg, dapagliflozin 10 mg, and placebo, respectively. Hypoglycemia, including severe hypoglycemia, was balanced between groups. There were more adjudicated definite diabetic ketoacidosis (DKA) events with dapagliflozin: 2.6%, 2.2%, and 0% for dapagliflozin 5 mg, dapagliflozin 10 mg, and placebo, respectively.

インスリン単位数が減って、HbA1cは改善するようですが、DKAの増加があるようです。 SGLT2阻害薬を1型糖尿病に使用する時点で、DKAの危険性は認識していたはずなので、注意して使用しても24Wに2%のDKAが発症すると思っておいたほうがよさそうですね。

個人的にはインスリンで血管から臓器に取り込むべきブドウ糖がSGLT2阻害薬で排出されてしまっているという理解です。 2型糖尿病であれば、ブドウ糖を血管から臓器に取り込んだ後の余ったブドウ糖を効率的に腎臓から排出しているという点で効果が異なっているのかもしれません。

今の情報を見る限りでは1型糖尿病にSGLT2阻害薬使おうとは思わないですね。
使うとしたら、1型糖尿病のなかでもインスリン抵抗性が強くなってきたようないわゆるタイプには効果があるかもしれません。

■ 参照文献
Mathieu C et al., Diabetes Care. 2018 Jul 19. pii: dc180623.
PMID: 30026335

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之