降圧治療は家庭血圧で管理したほうがよいだろう。

高血圧患者さんの、血圧管理は診察室での血圧よりも、自宅での血圧を参考に治療することが勧めれられております。

その根拠となる論文についてのメタ分析がでていたので紹介です。

■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T: 試験デザイン meta-analysis
P: 患者背景 18歳以上の高血圧患者
E: 介入 C:比較
家庭血圧で管理
vs
診察室血圧で管理

O: アウトカム
心血管イベントの発症率
心血管イベントによる死亡率
24時間ABPM平均値の低下

■ 結果

For outcomes of BP change, the analysis based on all 12 studies found by our search showed that home BP-based treatment was significantly associated with a 1.18 mmHg larger reduction in the average ambulatory systolic BP than the control group (P = 0.04). However, a high heterogeneity was observed (I2 = 75%, P < 0.0001). Based on nine studies employing a lower target BP for home BP than for office BP, the differences in the averages of the ambulatory systolic/diastolic BP changes between the two groups were 3.62/2.16 mmHg, respectively (P < 0.0001). No significant heterogeneity was observed (I2 = 0%, P ≤ 0.59).

一番の効果である、心血管イベントの発症率や心血管イベントによる死亡率については研究がなかったようです。

そのため24時間ABPMという、1日中つけておく血圧計のデータと比較した場合の12の研究が対象となっております。

また、高血圧患者さんでは診察室血圧よりも自宅血圧のほうが低いことがわかっているので、目標血圧を自宅血圧と診察室血圧で同じであった12研究のうち3研究を除外した9研究に絞っています。

この9研究をメタ分析すると、家庭血圧をもとに高血圧患者さんの管理をしたほうが、診察室での血圧をもとに管理をするよりも1日の血圧を低くすることができるという結果でした。

自宅血圧と診察室血圧で心血管イベントについて直接比較をしたRCT研究はないものの、血圧をしっかり下げることは心血管イベントを下げることは分かっているので、 高血圧の管理をするのであれば自宅血圧を参考にして治療をしていく必要性があると考えます。

また当院のクリニックがあるビルは、地下街から階段が必要であることや、お仕事で急いでこられた患者さんがいること、受診時の血圧が高くなっている方々がいます。

そのため当院でも、高血圧の方や血圧が気になる方には自宅での血圧計を勧めております。

■ 参照文献
Satoh M et al., Hypertens Res. 2019 Jun;42(6):807-816.
PMID: 30948837

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之