リラグルチドは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を改善させるかも。

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝硬変や肝がんなどの発症原因であり、糖尿病、高血圧、脂質異常症などを合併することが多いため当院でも関連が大きい病気です。

今回はGLP1作動薬であるリラグルチド(商品名ビクトーザ)が非アルコール性脂肪肝炎(NASH)にも効果がありそうという論文を見つけたので紹介します。

■ 試験デザイン

TPECOに分けると下記のようになります

T: 試験デザイン

RCT

P: 患者背景

肥満症かつ脂肪肝をもつ患者

E: 介入

リラグルチド 1.8mg
26名

C:比較

プラセボ
26名

O: アウトカム

脂肪肝の病理学的変化
* 2人の独立した病理学者によって中心的に評価

■ 結果

Nine (39%) of 23 patients who received liraglutide and underwent end-of-treatment liver biopsy had resolution of definite non-alcoholic steatohepatitis compared with two (9%) of 22 such patients in the placebo group (relative risk 4·3 [95% CI 1·0-17·7]; p=0·019). Two (9%) of 23 patients in the liraglutide group versus eight (36%) of 22 patients in the placebo group had progression of fibrosis (0·2 [0·1-1·0]; p=0·04).

この結果をみると、リラグルチド1.8mgの使用は脂肪肝を改善し、線維化の進行を抑制する効果はかなり期待できるのではないでしょうか?

信頼区間のばらつきについては、N数によるものと思いますが、肝生検という侵襲的な検査でこれだけの人数を集めるのも大変だったのではないかと思います。

副作用についても、今までのGLP1作動薬で報告されている、胃腸症状がほとんどのようですね。

臨床上の実感としてはSGLT2阻害薬も脂肪肝に効果があるように感じているので、こちらの論文も探してみたいと思います。

■ 参照文献

Armstrong MJ et al., Lancet. 2016 Feb 13;387(10019):679-90.
PMID: 26608256

■ 当院の紹介

名古屋糖尿病内科クリニック
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名古屋中村区で糖尿病内科を開業しています。 糖尿病が専門分野で高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が得意ですがCPAPなど他の内科も対応しています。 また外来でのインスリン導入や栄養指導が可能で、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも対応できます。

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名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之