食事運動療法で目標血圧に達成しない高血圧の方には、降圧薬を処方します。 今回の論文では、降圧薬の飲むタイミングによって効果が変わるのではないかという報告です。
確か以前の報告にも、降圧薬は就寝前のほうが効果があるという論文があったはずなのですが、残念ながらメモに見当たらなかったです。
■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T: 試験デザイン
controlled, prospective endpoint trial
P: 患者背景
高血圧患者
19,084名
E: 介入
就寝時に1つ以上の降圧薬
C:比較
起床時にすべての降圧薬
O: アウトカム
心血管イベントの発生
■ 結果
Patients of the bedtime, compared with the upon-waking, treatment-time regimen showed significantly lower hazard ratio-adjusted for significant influential characteristics of age, sex, type 2 diabetes, chronic kidney disease, smoking, HDL cholesterol, asleep systolic blood pressure (BP) mean, sleep-time relative systolic BP decline, and previous CVD event-of the primary CVD outcome [0.55 (95% CI 0.50-0.61), P < 0.001] and each of its single components (P < 0.001 in all cases), i.e. CVD death [0.44 (0.34-0.56)], myocardial infarction [0.66 (0.52-0.84)], coronary revascularization [0.60 (0.47-0.75)], heart failure [0.58 (0.49-0.70)], and stroke [0.51 (0.41-0.63)].
心血管イベント | 0.55 (0.50 to 0.61) | |
心血管死亡 | 0.44 (0.34 to 0.56) | |
心筋梗塞 | 0.66 (0.52 to 0.84) | |
冠動脈血行再建 | 0.60 (0.47 to 0.75) | |
心不全 | 0.58 (0.49 to 0.70) | |
脳卒中 | 0.51 (0.41 to 0.63) |
この報告をみると、降圧薬は朝よりも就寝前に飲んだほうが、効果があるようですね。
ただ、今までの処方経験からは、朝食後の薬よりも夕食後や就寝前の飲み薬は、飲み忘れが多い印象があります。 また、糖尿病などの内服薬との兼ね合いから、就寝前よりも夕食後のほうが利便性は高いかもしれません。
上記を踏まえて、基本は夕食後や就寝前にしながら、飲み忘れや飲酒習慣次第で朝食後に変更していくのも良いかもしれません。
臨床に役立つ論文だと思います。
■ 参照文献
PMID: 31641769
■ 当院の紹介
名古屋糖尿病内科クリニック
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名古屋中村区で糖尿病内科を開業しています。 糖尿病が専門分野で高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が得意ですがCPAPなど他の内科も対応しています。 また外来でのインスリン導入や栄養指導が可能で、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも対応できます。
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名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之