CKD患者へのアロプリノールはeGFR低下抑制効果ないかも。

痛風がない場合の高尿酸血症治療については、議論が分かれるところで特にCKDへの高尿酸血症については加療すると腎機能悪化が防げるという意見があったりもしました。

今回、CKD患者へアロプリノールによるeGFRの低下抑制効果をRCTで検討した論文があったのでシェアします。

■ 試験デザイン

TPECOに分けると下記のようになります

T: 試験デザイン

RCT 

P: 患者背景

stage3,4 CKD

痛風既往歴なし

E: 介入

アロプリノール 100~300mg/day

C:比較

プラセボ

O: アウトカム

eGFRの低下抑制

■ 結果

The change in eGFR did not differ significantly between the allopurinol group and the placebo group (-3.33 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% confidence interval {CI}, -4.11 to -2.55] and -3.23 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% CI, -3.98 to -2.47], respectively; mean difference, -0.10 ml per minute per 1.73 m2 per year [95% CI, -1.18 to 0.97]; P = 0.85). Serious adverse events were reported in 84 of 182 patients (46%) in the allopurinol group and in 79 of 181 patients (44%) in the placebo group.

糖尿病は約45%でした。他の基礎疾患については本文Table1の患者プロファイルにあります。

今回のRCT結果を見る限りでは、CKD患者さんに対してeGFR低下抑制目的でのアロプリノール効果はあまり期待できなさそうですね。

前から痛風のない方の高尿酸血症はあまり治療していなかったのですが、今後もこの方針は続きそうです。

ところで、この試験CKDstage3~4が対象だけどアロプリノールは投与量調整基準を満たせば1日300mgまで増やしており、有害事象もプラセボとほぼ変わらないぐらいだったようです。

日本では腎機能低下ではアロプリノールを減らして使うことが多いと思うのですが、はたして妥当なのかという新たな疑問をいだきました。

■ 参照文献

N Engl J Med. 2020 Jun 25;382(26):2504-2513.
PMID: 32579811

■ 当院の紹介

名古屋糖尿病内科クリニック
〒450-0002
名古屋市中村区名駅3丁目22番8号 大東海ビル3階308号

名古屋中村区で糖尿病内科を開業しています。 糖尿病が専門分野で高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が得意ですがCPAPなど他の内科も対応しています。 また外来でのインスリン導入や栄養指導が可能で、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも対応できます。

患者さまの転居等でご紹介先をお探しの方は是非当院へ。

最近ではダイエット外来、HPVワクチンのガーダシル9(シルガード9)や帯状疱疹ワクチンであるシングリックスにも力を入れています。

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之