[膵臓移植] 血糖コントロールがどうしても安定しない人へ

血糖コントロールがどうしても安定しない人には「膵臓移植」を勧めることがあります。外科手術にはなりますが、血糖の乱高下や頻回の低血糖に悩んでいる1型糖尿病患者さん、腎不全を合併した糖尿病患者さんにはよい治療かもしれません。

・科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013 p287-294
膵臓移植中央調節委員会
などのサイトを参考に作成いたしました。

* 2015/5/1作成段階の情報ですので、ご注意ください *

膵臓移植の適応:
以下の①②いずれかに該当する症例で年齢は原則60歳以下が望ましい。
また、合併症や併存症による制限がある。


腎不全に陥った糖尿病患者で、臨床的に腎移植の適応があり、かつ内因性インスリン分泌が著しく低下しており、移植医療の十分な効能を得るために膵腎両方の移植が望ましいもの


1型糖尿病患者で、糖尿病専門医による治療努力によっても血糖値が不安定であり、血糖コントロールが極めて困難な状態が長期にわたり持続しているもの

膵臓移植中央委員会のサイトによると移植適応を考慮した場合、主治医が中央調節委員会に連絡し、必要書類を作成となっているが、膵臓移植適応判定申請書の作成はクリニックでは不可能ですので、実際には経験豊富な医療機関に紹介します。

膵臓移植の種類と生着率

5年生存率(欧米)
5年生着率(欧米)
膵単独移植
PTA
89%
59%
膵腎同時移植
SPK
87%
80%
腎移植後膵移植
PAK
83%
62%

膵臓移植により期待できること
・インスリン注射/血糖測定が不要になる。あるいはごく少量に減る。
・網膜症の進展予防効果が期待できる。
・神経障害の改善が期待できる。
・大血管障害の発症・進展予防が期待できる。

膵島移植について
・生着率が低いこと
・インスリン離脱率が低いこと
・複数人の膵島を移植となること
が問題となっているが、
・新しい免疫抑制プロトコールを用いて先進医療Bとして臨床試験が継続中である。