「新型コロナワクチン接種をどうしようか」と考えた話 2020/11/25時点

この記事の目的

この記事には「あなた」がワクチンを接種すべきかについての記載はありません。

2020/11/25時点の情報をもとに「私」がこれらのワクチンを接種すべきかを考えた記録です。 新しいワクチンを自分が接種すべきか否かを判断する、考え方の過程を記録に残してみます。

不確実な情報をもとに、自分がどのように判断したか?をメタ認識することで他の状況にも良い対応ができるようになると考えてまとめています。

新型コロナウイルスに2つの有望なワクチンが出たという情報をキャッチした

ファイザーとモデルナ社からCOVID-19ワクチンの効果方向が出てきており、 FDAに緊急承認を申請しているようです。

日本では2021年の上半期にファイザーのワクチンを1億2000万回分(6000万人分)、モデルナ社のワクチンを4000万回分(2000万人)の供給を合意されているようです。(文献1)

ファイザーとモドルナのワクチン有効率はそれぞれ95%、94.5%とかなり効果があるようです。(文献2) ただ報告の数字を示す臨床研究についての論文はまだ公開されていない状況です。 また、この2つのワクチンはmRNAワクチンという新しい技術を用いて作られたワクチンです。

まずは疑問点を上げていく

上記の情報をみて、自分にワクチンを接種すべきかを判断するのに必要な情報を集める前にはじめに何が知りたいかをリスト化していきます。

  1. mRNAワクチンってなんだ?
  2. 効果はどれくらいか?
  3. 安全性はどうか
  4. 今の感染状況
  5. 新型コロナウイルスの重症化率
  6. 自分の状況

mRNAワクチン

mRNAとは

DNAからタンパク質をつくる過程でできるDNA配列のコピーのこと。
以下のようにしてタンパク質にかわる。(文献3, 4)

  1. DNA配列のコピー(mRNA)が作られる
  2. mRNAがリボソームと結合しタンパク質を作る
  3. mRNAが分解される
  4. タンパク質は色々なところに移動する

mRNAワクチンで免疫ができる仕組み

mRNAワクチンには抗原を作らせるmRNAが脂質ナノ粒子の中に含まれています。mRNAは接種した人の細胞に取り込まれて、人の細胞内にあるタンパク質合成機構を利用して、免疫反応を誘発する「抗原」を産生させます。(文献5)

作られた抗原が免疫を誘発する2つの経路

  1. 細胞性免疫を誘発
    産生された抗原タンパクは細胞内で分解され小さくなり、MHCクラスⅠタンパクと複合体を形成し細胞表面に出てきます。 MHCクラスⅠはCD8+T細胞を刺激し、細胞性免疫を誘発します。
  2. 抗体産生を誘発
    産生された抗原タンパクは細胞外に放出されたのち、他の細胞に捉えられた後、細胞内で分解されMHCクラスⅡタンパクと複合体を形成し細胞表面に出てきます。 MHCクラス1はCD4+T細胞に認識され、抗体をつくるB細胞を活性化します。

mRNAの効果と安全性

ファイザー

  • 研究   43,000人以上
  • 接種   0, 21日
  • 評価   最初のワクチン接種後28日後に評価
  • 予防効果
    発症 プラセボ接種群162名 ワクチン接種群8名(有効率95%)
    重症 プラセボ接種群9名 ワクチン接種群1名
  • 副反応
    重大副反応なし
    頻度が2%を超えるグレード3の有害事象は、3.8%の倦怠感と2.0%の頭痛のみ

文献6

モデルナ

  • 研究   中間解析 3万人以上
  • 接種   0, 28日
  • 評価   2回目のワクチン接種後14日後に評価
  • 予防効果
    発症 プラセボ接種群90名 ワクチン接種群5名(有効率94.5%)
    重症 プラセボ接種群11名 ワクチン接種群0名
  • 副反応
    重大副反応なし
    1回目の投与後の頻度が2%以上のグレード3(重度)のイベントには注射部位の痛み(2.7%)

     

    2回目の投与後は倦怠感(9.7%)、筋肉痛(8.9%)、関節痛(5.2%)、頭痛(4.5%)、痛み(4.1%)、注射部位の紅斑/発赤(2.0%)

文献7

安全性

安全性については、規模と期間を考えてきます。

規模について

4万人程度の試験で、効果の判定規模としては問題ないように思いますが、副作用観察を目的とするとどうでしょうか?

「平成28年度シーズンのインフルエンザワクチン接種後副反応疑い報告について」(文献8)というPDFが厚労省から公開されていたので、インフルエンザワクチンの副作用報告と比較してみました。 

これによると、約5000万回のインフルエンザワクチン接種に対して報告数が243例、重篤報告数が163例です。 報告されたうちの因果関係についてはPDF本文で別途記載されていますが、50万回分で1.6例の報告が補足されるという印象です。

このことから、4万例では不足していると考えます。

期間について

また試験期間は長くて42日で評価されています。 

文献6ファイザーのサイトには、”試験では、参加者の有効性と安全性のデータをさらに2年間収集し続けます。”という記述があるため2年ぐらいは安全性評価の期間は必要なのかもしれません。

 

今の感染状況

2021/11/24時点の国内新規陽性者数は1,513人、重症者数345人(文献9)、名古屋市では11/20にはコロナ病床の8割が埋まっていることが報道されています(文献10)。

新型コロナウイルスの重症化率

文献11より引用

文献12より引用

自分の状況

感染した場合の影響

  • 重症化リスク
  • 感染リスク
  • 経済的影響

重症化リスク

30歳台の持病なしであるため、感染した場合の重症化リスクは低い。(参考13)

感染リスク

  • 職場での感染リスク
    糖尿病内科の外来では、患者や業者さんなど1回あたりの接触時間は短いものの、接触をする人数は多いです。 また、糖尿病外来であるため、基礎疾患および年齢から接触する患者さんの重症化リスクは高い。
  • 家庭での感染リスク
    私以外の家族は外部との接触は少ない。

「私」は患者さんへの感染源リスクであり、職場での感染リスクがあり、家族にウイルスを持ち込む因子でもあります。

経済的リスク

感染し軽症で改善した場合の休業期間は14日程度です。
14日であれば休業しても耐えることができますが、その後の受診患者数の低下が懸念されます。

借金がそれなりにあるので、キャッシュフローが回らなくなった場合のダメージは大きく、またコロナウイルスの影響により医療機関の経済状況が厳しいことを考えると再就職先の条件は厳しそう。

2020/11/25時点での結論

手に入れば私は接種すると思います。

ワクチン接種を判断する要素として、①ワクチンの有効性と安全性、②流行状況、③感染したときの重症化リスク、④感染したときの社会的リスクを考えました。

有効性については95%と十分にあり、現時点(2020/11/25)での感染流行状況は高いです。 また、私自身の重症化リスクは少ないものの、患者さんなど接触する方々の重症化リスクが高く、家庭への持ち込みリスクは私が圧倒的に高いです。

一方で懸念するのが有効期間と安全性ですが、有効期間は抗原への反応以降は通常のワクチンと同じ経路なのであまり心配はしていないです。

安全性については、100万規模の検討はないもののひとまず4万人クラスでは当面安全なように感じました。 長期的な安全性については不鮮明な点だけは懸念として残りますが、現時点での感染流行状況と感染したときの社会的リスクを秤にかけて接種しようと考えています。

 

書いてる途中にAstraZeneca社から別のワクチンが出てきたのですが、考え方はかわらないので追記しませんでした。

参考資料

専門分野なら論文や公的資料をベースに判断するべきですが、専門外をあたる場合は、信頼できる専門家がまとめた記事を利用したほうが効率的です。 そのうえで必要があれば、引用元の資料に当たっていくと良いでしょう。

ひとまず「私」が新型コロナウイルスのワクチンを接種すべきかの判断は、下記を参考にしました。

  1. 厚生労働省HP:新型コロナ感染症のワクチンについて
  2. Yahoo Japan ニュース:2つの新型コロナウイルスワクチン これまでに分かっていることとまだ分かっていないこと
  3. moderna:mRNAテクノロジーの科学と基礎
  4. Nature 461, 7261 細胞:mRNAの分解は翻訳中に始まる
  5. CAS:COVID-19の打倒を目指す新たなmRNAワクチンのご紹介
  6. ファイザーのプレスリリース
  7. モデルナのプレスリリース
  8. 構成労働「平成28年度シーズンのインフルエンザワクチン接種後副反応疑い報告について」
  9. 厚生労働省:国内の発生状況など
  10. 中日新聞
  11. 新型コロナウイルス感染症診療の手引き 第3版
  12. Yahoo japan:新型コロナ 重症化しやすい人は? 肥満、男性、糖尿病、喘息などそれぞれのリスクについて
  13. Yahoo Japan:新型コロナ 典型的な症状、経過、重症化のリスク、受診の目安

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