2型糖尿病診断後の末期腎疾患は10年で0.29%、20年で0.74%

糖尿病の合併症である腎不全は最終的に末期腎疾患(ESRD)という状態になり、透析や腎移植といった治療が必要になってきます。 糖尿病性腎症による透析導入は新規透析導入率全体の42.5%を占めます。

今回はフィンランドより2型糖尿病診断後の末期腎疾患累積リスクを計算した報告があったので紹介します。

■ 試験デザイン

TPECOに分けると下記のようになります

T: 試験デザイン

コホート

P: 患者背景

フィンランドの2型糖尿病患者

E: 介入 C:比較

糖尿病診断後の期間

O: アウトカム

末期腎疾患(ESRD)の累積リスク

■ 結果

Cumulative risk of ESRD was 0.29% at 10 years and 0.74% at 20 years from diagnosis of diabetes. Risk was higher among men than among women (HR 1.93 [95% CI 1.72-2.16]), decreased with older age at diagnosis (HR 0.70 [95% CI 0.60-0.81] for age 60-69 vs. 40-49 years), and was lower for those diagnosed in 2000-2011 than in 1990-1994 (HR 0.72 [95% CI 0.63-0.81]). Patients diagnosed with diabetes in 2000-2011 had lower risk of death during follow-up than those diagnosed in 1990-1994 (HR 0.64 [95% CI 0.63-0.65]).

10年で0.29%、20年で0.74%つまり、2型糖尿病と診断された方のうち10年後には344人に一人が、20年後には135人に一人が透析や腎移植を行っているという計算です。

また0.29%という数字は糖尿病の患者さんが国内に328.9万人多いことを考えると、決して少ない数字ではないです。

ただ、Abstractにもあるように、1990~1994年に2型糖尿病と診断された患者さんと比べて、2000~2011年に診断された患者さんの死亡率が低いことは、糖尿病治療の進歩が進んでいることを示すのではないでしょうか?

診療の参考になる論文だと思います。 1型糖尿病患者さんのESRD累積リスクも論文になっているようなので次回をそちらを紹介します。

■ 参照文献

  1. Finne P et al., Diabetes Care. 2019 Apr;42(4):539-544.
    PMID: 30692239

■ 当院の紹介

名古屋糖尿病内科クリニック
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名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之