SGLT2阻害薬はDKAを2.13倍程度増やす

SGLT2阻害薬を使用する際には、性器感染・尿路感染・皮疹・下腿壊死のほかにDKA(糖尿病性ケトアシドーシス)があります。

DKAはインスリンの作用が不足することにより、ケトン体が処理能力以上に産生されることにより、血液が酸性になる病気です。

SGLT2阻害薬でどのくらいDKAが増加するかの報告がでていたので紹介します。

■ 試験デザイン

TPECOに分けると下記のようになります

T: 試験デザイン

Systematic Review and Meta-Analysis of RCT

P: 患者背景

2型糖尿病

E: 介入

SGLT2阻害薬あり

C:比較

SGLT2阻害薬なし

O: アウトカム

DKA

■ 結果

 SGLT2 inhibitors were statistically associated with an increased risk of DKA versus control (SGLT2 inhibitors: 62/34 961 [0.18%] vs. control: 23/25 211 [0.09%], Peto odds ratio [OR] 2.13, 95% confidence interval [CI] 1.38 to 3.27, I2 = 8%; RD 1.7 more events, 95% CI 0.6 more to 3.4 more events per 1000 over 5 years; high-quality evidence).

peto Oddsは2.13ですが、RDは1.7/1000*5年以上とのことです。 増やしはするけど、1000人を5年以上治療して1.7人増やす程度ですね。 それほど多いわけではありませんが、やはり注意しながら使っていく必要があります。

SGLT2阻害薬使用時にはDKAを注意しながら処方していたので、今回のpeto oddsとRDは参考になりました。

ジャディアンス(エンパグリフロジン)、カナグル(カナグリフロジン)、フォシーガ(ダパグリフロジン)といったSGLT2阻害薬を使用する際には引き続きDKAに注意しながら処方していきたいと思います。

■ 参照文献

  1. Jiali Liu et al., Diabetes Obes Metab. 2020 May 4.
    PMID: 32364674

■ 当院の紹介

名古屋糖尿病内科クリニック
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名古屋中村区で糖尿病内科を開業しています。 糖尿病が専門分野で高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が得意ですがCPAPなど他の内科も対応しています。 また外来でのインスリン導入や栄養指導が可能で、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも対応できます。

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ダイエット外来を始めてから、メディカルダイエットや医療痩身についても興味を持っています。

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之