人工知能によるインスリンポンプの調節は医師と同等レベルの成績

以前から人工知能とインスリン調節の相性は良いだろうと考えていたのですが、インスリンポンプの調節が医師と同等レベルという報告があったので、紹介します。

■ 試験デザイン

TPECOに分けると下記のようになります

T: 試験デザイン

6か月の多施設多国籍並行無作為化非劣性試験

P: 患者背景

10歳から21歳
インスリンポンプ療法を使用している1型糖尿病の参加者108人

E: 介入

人工知能ベースの意思決定支援システム(AI-DSS)

C:比較

医師

O: アウトカム

血糖値70~180 mg/dLの
範囲内にはいっていた時間%

■ 結果

 The results for the primary efficacy measure-the percentage of time spent within the target glucose range (70-180 mg dl-1 (3.9-10.0 mmol l-1))-in the AI-DSS arm were statistically non-inferior to those in the physician arm (50.2 ± 11.1% versus 51.6 ± 11.3%, respectively, P < 1 × 10-7). The percentage of readings below 54 mg dl-1 (<3.0 mmol l-1) within the AI-DSS arm was statistically non-inferior to that in the physician arm (1.3 ± 1.4% versus 1.0 ± 0.9%, respectively, P < 0.0001).

糖尿病センターで勤務する医師と同等レベルなので、人工知能によるインスリンポンプ調節はかなり良いのではないでしょうか?

また、インスリンでの治療では専門の医師、人工知能という方法を用いても達成が50%であることは今後の課題ですね。 現状では膵臓移植の報告が良いみたいですが臓器の数に限りがあるので、IPS細胞などのブレークスルーを待ちたいですね。

■ 参照文献

Nat Med. 2020 Sep;26(9):1380-1384.
PMID: 32908282

■ 当院の紹介

名古屋糖尿病内科クリニック
〒450-0002
名古屋市中村区名駅3丁目22番8号 大東海ビル3階308号

名古屋中村区で糖尿病内科を開業しています。 糖尿病が専門分野で高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が得意ですがCPAPなど他の内科も対応しています。 また外来でのインスリン導入や栄養指導が可能で、妊娠糖尿病や糖尿病合併妊娠にも対応できます。

患者さまの転居等でご紹介先をお探しの方は是非当院へ。

最近ではGLP1作動薬を使ったGLP1ダイエット外来、HPVワクチンのガーダシル9(シルガード9)や帯状疱疹ワクチンであるシングリックスにも力を入れています。

名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之