糖尿病治療薬として存在感がでているGLP1作動薬ですが、膵炎などの膵臓疾患との関連については懸念されておりました。
2型糖尿病患者さんに対してGLP1作動薬を使用した11週以上のRCTをメタアナリシスした論文を見つけたので紹介します。
■ 試験デザイン
TPECOに分けると下記のようになります
T: 試験デザイン
メタアナリシス of 11週間以上のRCT
P: 患者背景
2型糖尿病
E: 介入 C:比較
GLP1作動薬
vs
コントロール
O: アウトカム
膵炎、膵臓癌、胆石症
■ 結果
The incidence of pancreatitis and pancreatic cancer with GLP1-RA was not significantly different from that observed in comparator arms (MH-OR [95% CI] 0.93 [0.65-1.34], P = .71, and 0.94 [0.52-1.70], P = .84, respectively), whereas, a significantly increased risk of cholelithiasis (MH-OR [95% CI] 1.30 [1.01-1.68], P = .041) was detected.
この論文で調べたGLP1作動薬はエキセナチド(商品名バイエッタ)、リラグルチド(商品名ビクトーザ)、リキセナチド(商品名リキスミア)、アルビグルチド(販売中止)、デュラグルチド(商品名トルリシティ)です。
これらのGLP1作動薬と膵炎、膵癌については関連性はなさそうでしたが、胆石については30%ほどリスクを増やすようです。 胆石は肥満や急激な体重減少があるとできやすくなり、GLP1の作用による胆嚢収縮の低下作用が関連しているのかもしれないです。
AbstractにはGLP1作動薬別の発症率について記載はありませんでした。 当院でのGLP1作動薬処方率ナンバーワンはビクトーザなので、GLP1作動薬別の発症率が知りたいところです。 購入が16.5$なので悩みますね。 買って目的の情報がないこともよくあります。
無症候性の胆石は基本的に経過観察なので、現時点での対応としてはGLP1作動薬を使用中で突然の腹痛などがあれば、胆石発作を鑑別に上げることでしょうか。
■ 参照文献
Monami M et al., Diabetes Obes Metab. 2017 Sep;19(9):1233-1241.
PMID: 28244632
■ 当院の紹介
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名古屋糖尿病内科クリニック 院長・糖尿病専門医 平井博之